投票しない理由を考えてみた。

7月21日、2019年の参院選が終わった。僕が見ているSNSのタイムラインは、投票を促すムードがすごく高かった。いつもよりも随分と高かった。なので今回の選挙は興味深く見ていた。選挙に関する僕の体感値は現実とどれくらい乖離しているものなのだろうか、と。しかし投票率は50%に届かず、過去最低だった1995年の44.52%に次ぐ低さだという。いつも衆院選に比べて盛り上がりに欠ける参院選とはいえ、国の行く先に関する意思決定を有権者の半数で決めていることになる。

投票しない理由は、色々あると思う

特に若い人が投票しないことが話題になっている。もちろん僕も、過去すべての選挙で投票してきたわけじゃない。色んな事情で投票を断念したこともある。投票しない理由も色々とあると思う。一般的な議論や統計的な話は置いておき、自分のことも思い出しながら考えてみたい。

とにかくめんどくさい。(不在者投票とか・・)

とある地域のワークショップで、参加者に「そもそも一つの場所に集めて意見を聞こう、という考え方自体がどうかと思うよ。」と言われたことがある。ごもっともだ。わざわざ家を出て集会所のような場所に行って意見を言うなんて、めんどくさい。そう、「めんどくさい」を乗り越えるのは結構大変だ。選挙に関しても、期日前投票ができることもわかってはいるけども、後回しにしていたら投票日になって、その日も予定が入っちゃった、まあしかたないか。そんな人もわりといるんじゃないかと思う。

大学生の時だったか、不在者投票をやろうと思ったことがある。初めてのことで制度のこともよく知らず、不在者投票にしようと思った時にはもう遅かった、ような記憶がある。もっと気軽にできるものだと思っていた。でも実際は、投票用紙を入手するために請求書を送り、それを受け取り、また郵送する、というアナログで時間のかかる手続きが必要で、1週間はかかる。今ではネットで投票用紙を請求できるところもあるらしいが、全てではないのだろう。忙しくて投票期間に地元に帰れない大学生が、このめんどうな手続きを乗り越えて不在者投票するのだろうか。。

「めんどくさい」を乗り越えるモチベーションがない

「めんどくさい」のハードルに対して「投票したい!」と乗り越えるモチベーションがない、という人も多かれ少なかれいるのだろう、と思う。僕は今32歳で、(浪人したので)大学4年生時の2009年に政権交代を見た。でも当時の民主党を中心とした連立政権はなかなか安定しないまま、2012年12月にはまた自民党に戻った。投票しないと言われる僕らの世代は、人生のほとんどを自民党政権下で過ごしていることになる。

「けっきょく政権運営には党としての経験値も必要であり、自民党以外に安定して政権運営できる党がないんじゃないか。」「だから大体の人は自民党に入れるんじゃないの。」「それなら、なるようになればいいよ。大事な時間使ってまで投票いかなくてもいいでしょ。。」っていう感覚、わりとあるんじゃないかなと思う。自民党以外の党がうまくやった事例を見ていないのだから、投票して国が変わるイメージもわかないだろう。

投票するモチベーションはどう高まるのか

オンライン投票を導入する、などの投票率を少し上げる方法はいくらでもあると思う。ただそれでもモチベーションのない人にとっては、たとえオンライン化されても「自分の意見を整理して」「政党や候補者の主張を比較して」「Webサイトを開いて・・」っていうステップすらめんどくさいだろう。投票が絶対に必要だと思うなら、多少めんどくさくても投票するのだ。きっと。(それでも、オンライン投票は一刻も早く実現してほしい)

今回の選挙も難しかった。自分が求める政策に100%合致する政党などなくて、そこから選んで投票するというのは難しい。でも今はなんと、JAPAN CHOICE というWebサイトまである。運営団体は学生NPOなのだから驚きだ。僕も参考にした。でもこれもやっぱり、「投票のために考えたい」というモチベーションがないと開かれないサイトだと思う。

僕が学生時代に活動していた学生NPOは、代表を選挙で選ぶ。自分が投票したこともあるし、自分が投票を受けて代表に選出されたこともある。小さなNPOの話だけど、自分たちの大切な組織の未来を左右する投票だった。たくさん考えたし、議論した。その投票から生まれた結果から、今日・明日・明後日・・の現実が作られていった。これは僕にとって、わかりやすい投票体験だった。政治における投票も本質的には同じだと思っている。

投票というアクションが社会をつくることに繋がっている、そんなことを実感できる体験があるといいのかもしれない。少し視点を広げると、投票というアクションも社会参画の一つの手段にすぎない。自分のアクションから社会がつくられていく・変わっていくことを目撃する、そんな体験が増えていくと、選挙を機に生まれる新しい動きが気になってくると思う。

政治・選挙・投票の価値も問われていく

とはいえ今後はますます、自分で生き方を選ぶ・考える時代になっていく。日本の政治の変化なんで待たずに、国を選ばずに生きていく人が増えていく。個人がどんどん動いていく。そんな時代における政治の価値とは何なのか。選挙に参加する意味はあるのか。今のままいくと、どれだけ投票を促しても、投票率は下がっていくと思う。

楽しくもないワークショップや会議に「参加してください!」と一方的にお願いするのは辛い。無理やり参加してもらった人ばかりの場が楽しくならないことは目に見えている。自ら参加したくなる、そんな場づくりが必要。それは選挙も同じなのだろうと思う。

ちなみに

オーストラリアでは投票が義務化されており、投票しない場合は罰金1500円ほどが課されるそうだ。1924年から100年近く続いている制度。投票率は90%を越えているという。罰金制度に目が行くが、投票しやすい環境づくりにも熱心に取り組まれているようだ。